趣味の部屋・詩と私

アクセスカウンタ

掲示板 > 紹介詩 > eriさんの詩より


件ずつ で表示
1: ふーちゃん
ニックネーム: ふーちゃん
書き込み日時:2009/12/6 19:31:55
日常の何気ない出来事が、きらきら輝いて見えるeriさんの詩を、「ブログ・POEM*ANDANTE 」より、紹介いたします。

「まどのそと、まどのなか」

北風が吹いてきた空の下で
マフラーを巻きなおしました

単線の駅には
電車はまだ来ません
片隅の自動販売機の珈琲は
ホットばかりが売り切れのまま

冬が来た
本当に来た
爪の先まで手袋が恋しくなるのも
ポケットの中があたたかいのも
みんな正真正銘の冬空のせい

笑うと目がなくなりそうな院長のいる
駅前の医院の大きな樹
今年も最後の枯葉の雨を降らしています

ゆっくりとホームに滑り込んだ
車両のてっぺんにも
惜しみなくこぼれる
赤い秋のいのちを降らしています

乗り込んだ電車のまどは
ひといきれで
まどのそとを曇らしています

動き出した電車のまどは
凍えないように
まどのそとを動かしています

乗り合った人の熱で
ぬくみを帯びるまどのなか
各駅停車のドアが開くたび
凍える空気がにじんできます

ゆるやかなカーブで
錆びた線路の音が軋みながら
北風に滑り込んでゆきます

まどのそと
まどのなか

その次も
その次の駅も
ずっとずっと
終着駅まで始発の冬です
579: ふーちゃん
ニックネーム: ふーちゃん
書き込み日時:2017/5/31 08:49:56
何でもないものの ふりをしながら 教えてくれている時の天秤
eriさんの詩の紹介です。

「真際」

このよのなかにある
くだらないこと

つまらないこと
むだなこと
どうでもよいこと

なにがなんだか
わからなくなった日には
どこまでもうもれて眠りたい

ゆっくりと動いてゆく
時のさなか

うたた寝から目覚めた
けだるい午後の光にくるまれて
微かに潤んだひふの呼吸音

あちら側へと増した日に
こちら側へと増した日に
揺れては感じてゆく私という真際

伝えてくれる

どちらの際に増してゆくのも
あなたしだいと

このよのなかには
どうでもよいことなんて
ほんとうはなんにもないの

どちら側かへと増していく日に
どちら側でもない真際
そんな真ん中にそっと立って

どちら側に増しすぎても
生きてはいけないこと

何でもないものの
ふりをしながら
教えてくれている時の天秤

澄みわたる光の奥底は
幾度も沈んでは浮かび上がり

日々のひそやかな呼吸音を
水の輪のように織りなしながら

紙一重の広大な日常の中に
語りかけてくる
凛として生きてゆける明暗の真際
580: eri
ニックネーム: eri
書き込み日時:2017/6/1 00:43:25
バランスよく生きてゆくことの難しさに揺れながら生きてゆく人という時間・・・。
581: ふーちゃん
ニックネーム: ふーちゃん
書き込み日時:2017/6/16 05:51:43
田植えもすんだ爽やかなこの頃です・・・・。
eriさんの詩の紹介です。


「初夏」

ご無沙汰しております
覚えていますか

まだ向日葵は
お届けできませんが

本日は
おそるおそる
淡い新緑の青さをあなたに

ゆるさを増してゆく風は
しだいに熱く震えてゆきます

誰も振り向かない
古ぼけた建物の
小さく傾いた影のあいだにも

太陽はもっと自信をお持ちよと
ひとすじの陽ざしを
傾けてくれています

夏の初めとしるして
初夏と呼んでください

そこにいたようで
すぐに過ぎてゆく
微かな季節の光です

去り際のむずかしさを
少しだけ知っている
それだけが取り柄でしょうか

わたくしは初夏と申します

今年初めてをあなたに
そしてこれからをあなたに

本日は
おそるおそる
淡い新緑の青さをあなたに
582: ふーちゃん
ニックネーム: ふーちゃん
書き込み日時:2017/8/5 20:34:19
暮らしていく時の中で 感じること感じるままに
eriさんの詩の紹介です。

「尊重」

暑いから上着を脱ぎました
喉が渇いたから水を飲みました

今日の陽ざしが眩しすぎるから
買ったばかりの帽子を被りました

花が散った季節の後に
誰にも遠慮なく
瑞々しい青葉が広がるように

ありのままの
ながれゆくままの
忠実を受け止めていたいのです

遠慮がちで後回しになる
こと細かな自身の
言いたくても何も言えない日常

せめて一人だけの隙間は
そのままの自身を重んじてあげたい

暮らしていく時の中で
感じること感じるままに
流れゆくままに受け入れられること

そんな忠実のすべてに
尊重という言葉を贈りたいのです

今日という日が忙しすぎて
疲れたというあなたの忠実にも

たおやかな絹のリボンをかけて
何もなかったようにそっと
尊重という言葉を贈りたいのです
583: huko
ニックネーム: huko
書き込み日時:2017/8/6 18:43:45
暑い日も寒い季節もいつも傍に
ポエムがあるeriさん
素敵だなと思います。
584: eri
ニックネーム: eri
書き込み日時:2017/8/28 00:56:13
hukoさん、お久しぶりです。

言葉って、いつもさりげなくみんなの傍にいてくれますね。心の中に暮らす家族なのかもしれないですね。
585: ふーちゃん
ニックネーム: ふーちゃん
書き込み日時:2017/8/28 15:34:39
庭木の幹にはツクツクボウシ 反り返りそうになるくらい 夏の光に叫んでいる
eriさんの詩の紹介です。

「夏の音」

おばあちゃんちのテレビ
映っているのは高校野球

テーブルに置いてくれた
大粒の氷入り麦茶
握りしめながら見る決勝戦

カラカラと響いてきたのは
開けっ放しの窓の向こう
うずまく花壇の風車

庭木の陰の中
微かに揺れるのは
背の高い大きな向日葵の花

夏の太陽は八月の風に咲いたか
一生の思い出の蕾たちは
後悔の微塵もなくしなやかに
眩い金色の花びらを伸ばせたか

画面の向こうから
試合終了のサイレンの音

輪になる歓喜の球児たち
甲子園の土をつかみながら
号泣している球児たち

カランと音を立てた大粒の氷
ガラスコップの雫たちは
ここに留まることを知らない

庭木の幹にはツクツクボウシ
反り返りそうになるくらい
夏の光に叫んでいる

うずまく花壇の風車
ひとつひとつ耳の奥に
しまわれてゆく夏の記憶
586: ふーちゃん
ニックネーム: ふーちゃん
書き込み日時:2017/9/22 12:02:14
きょうは、どんな贈り物が届くのかな・・・・。
eriさんの詩の紹介です。

「無数の橋」

戸惑いながら
贈り物を差し出した
君の白いブラウスの両手

照り返す海岸の
潮風と光にふくらんだ

君の遠く
向こう側に映る
白い虹のかたちをした大きな橋

うつくしいその橋も何かに
贈り物を差し出しているのだろうか

翻る初夏の陽炎が
ゆっくりと流れながら瞬いてゆく

おだやかに差し出されるものは
いつも胸の向こう岸から
光のようにやって来る

今日もどこかで架けられる
ゆるやかな両手
無数の橋

差し出されるものは
いったいどんな色をしているのだろう

予告もなく架けられる
ゆるやかなこの世の無数の橋

はかり知れないその橋を
戸惑いながら瞬いてくるものは
いったいどんな姿をしているのだろう
587: eri
ニックネーム: eri
書き込み日時:2017/9/22 23:34:22
みなさまの願いの橋が、希望の橋が、慈しみの橋が、そのあたたかな両手で、誰かの日常の心にまで届きますように。架けることができますように・・・。
588: ふーちゃん
ニックネーム: ふーちゃん
書き込み日時:2017/10/11 09:33:04
微かに感じる球形に 包まれた青いこの星の軌跡
eriさんの詩の紹介です。

「夏の終わり」

夏の終わりを惜しむように
ワンピースを着た少女たちが
湖面に素足を浸していいる

揺れるみなもを走ってゆく
色褪せた夏の光が瞬きながら
向こう岸へと消えてゆく

さようなら今年の夏よ
息を飲むように見上げた
ジェット機が描いた雲の線

微かに感じる球形に
包まれた青いこの星の軌跡

日に焼けた少年の放った
フリスビーが空を突っ切ってゆく
真夏のUFOは秋へと消えてゆく

季節は巡りゆくものだけれど
今と同じ季節はもう二度と
こないことも知っているから

さっきからずっと
此処にいたくなってしまうんだ

さようなら夏模様
季節の淵に立って僕たちは
許される限り見つめ続ける

寄せ返してくるものも
ずっと佇んでいるものも

掬い上げて
この白いシャツのぜんぶに
きつく染み込ませてしまいたい

風に押されて転がった
空っぽのペットボトルさえも
反り返る光を閉じ込めようとしている

気づかれぬようにそっと
揺れる木漏れ日は秋へと零れてゆく

とめどない光の瞬きは
腕にまかれた時計にも落ちてくる
その丸い淵をなでながら包む夏模様


本 文
ホームページURL(任意)
画像 [画像貼付]:ファイルをアップロードして画像を貼付します。
画像貼付が正しく動作しない場合はこちら